デカダンス ダンス

地獄詩人ヘルポエマーによる地獄詩のブログ。

何者

サクッと読める本が何かないか母親と妹に聞いたところ、朝井リョウは読みやすいってことだったので何者を読んだ。

 

自分は就活が始まる前は一切何もやっていなかったけど、合説を口火に妥協せずにやったし、就活あるあるは網羅してるつもりだ。自分の就活経験と照らし合わせてもこの作品はリアルだった。著者も就活をしてたのかなぁ。聞き取り、ネット等の情報でここまでのものを書くのはそうそうできないと思う。

 

 【何者にもあった就活あるある】

・ネアカが最小限の努力である程度成功する

・名刺作ったりする自己主張強い人

・「友達の内定先  ブラック」で検索をかけること

・留学、インターン就活最強説

・大手志向でずっと内定とれない人

 

名刺作る人は中々いなかったけど、合説で手を上げて大学名を名乗ってくる就活生も完全に同類だろうな。知り合いにその手の人はいなかったけど、そういう人はだいたい失敗してるんじゃないかと思う。留学、インターン最強説は真実だったと感じた。自分みたいに就活期間だけ頑張ってる人が、合説解禁前から就活意識して行動してる人より上手く行くってのはおかしな話だと思うし納得する。学歴もそれまで努力してきた証だし、学歴フィルターもあってしかるべきだろうと思う。

 

「何者」の物語は主人公の目線で進んでいく。主人公の感情についての文章が多くあったけど、少し幼稚で共感できなかった。就活の内容を取り扱ってるとは言えど、Twitterをキーポイントにしていたりして、中高生くらいを対象年齢にしてるのかなと思った。主人公の斜に構えたところもそのくらいの年齢層が一番共感できそうだし。

ただ、一つだけ凄く共感してしまったのが、主人公が批判的で何も行動出来ない人物なのに対して、昔一緒に演劇やってた友達がいろいろな人に批判されながらも行動し続けてるところだ。自分は完全に前者タイプで、今まで他人のことを小バカにする反面何も行動してなかったと思う。今更ながら後者の方が凄いし、かっこいいし、憧れてしまう。

  

読んでる途中に実写映画のキャストを知って、山田孝之岡田将生以外は適役だと思った。ただ、比較的波の無い物語だし、人気のキャストで固めても商業的に成功しない気がしたけど実際はどうだったんだろう。

 

何者を、読み終えて自分の就活について思い出したりしたけど、自分のやるべきことがある程度決まってたし、ふわふわして何もやってなかった大学生活の中では充実してた期間な気がする。そのころは星野源のエピソードばっかり聴いてたから、今でも湯気とかを聴くとES、説明会ラッシュを思い出す。喫茶店で友達とES見せあったのもなかなかいい思い出かもしれんな。